「冬の秋田県北と十和田のあたり」  2020.02.07-09
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 暦の上では、大寒やら立春やらと続きますが、一年で実質的に最も冷え込むのは2月の初旬です。札幌を含む各地の雪まつりもその頃に開催されます。今回は秋田の男鹿半島にある真山(しんざん)神社での「なまはげ柴灯(せど)まつり」、大館市の「あめっこ市」、十和田湖畔休屋の「十和田湖冬ものがたり2020」、北秋田市鷹巣町の「もちっこ市」、阿仁スキー場で「圧雪車で行く夜の樹氷鑑賞」、仙北市「上桧木内の紙風船上げ」 などなど盛りだくさんです。真冬に旅館に泊まらずにキャンピングカー車中泊で日程をこなします。

 なまはげは、テレビで見たことはあっても現物の実演はこれまで見たことがありません。ユネスコ無形文化遺産に登録されたこともあり、そのお祭りが開かれる時期に合わせて見学に来ました。
 なまはげ館の中には各種展示がされていますが、同じなまはげでも男鹿半島内の各集落ごとに面を作る素材などに違いがあるようです。 柴灯まつりの期間中は夕方から入場無料ということもあってお客さんもたくさんいます。でも16時半から隣接する伝承館で実演があるということで(こちらも無料)、チケットをもらえましたので先にそちらに向かいます。
 囲炉裏が煙たい古民家の座敷に座って待っていると、和服を着た係の人の解説の後に、本物のなまはげが乱入してきて、一般の民家で行われている(らしい)やり方で、家の中を探し回ったり、主人となまはげの掛け合いが始まります。
 それにしても迫力十分です。 動画はこちらからご覧ください。

 このあと坂を少し上って真山神社の境内を予習します。一度駐車場に戻って夕食をいただいたあと、再び祭り会場に向かいます。

 やはりイベント参加の基本としては、なるべく早く現地入りして、下見や状況判断や予定把握をすることです。今回も駐車場も一般車では近くのエリアに止められて、無料で常設展示と実演を見学することが出来ました。
 真山神社の境内へ上る長くて急な石段の下に、受付(実質入場チケット販売所)があります。再入場用の木で出来たなまはげが使うような形のミニ包丁をいただけます。これはお土産にもなります。
 広場の中央では焚火がたかれ、常設の神楽殿でも準備が進んでいます。右の白く見える枠は大型スクリーンで、多分どこかに生中継されているのでしょう。神事などをアップで見ることが出来ます。(上と左の写真は開会前の下見時点なので、まだ明るくて人もあまりいません)
 神仏では撮影禁止としているところも多くありますが、そんなことを言っているとお客さんは来なくなります。 岩手県内でも中尊寺金色堂などは一般人は撮影禁止になっていますが、なぜかテレビカメラで放送するには制限は無いようです。いつか関係者にその禁止判断根拠を聞いてみたいものです。
 プログラムは次から次へと進み、同じようなもので飽きてしまわないように構成されています。神事の後、行事再現や、創作踊り、なまはげ太鼓と続いて、山からなまはげたちが松明をもって下山し、観客の中をぐるぐる三周位するとクライマックスです。寒さもどこかへ飛んでいきます。やはり行事・イベントは現地で生で味わうに限ります。
 この日は大潟村にある道の駅大潟に移動して一泊します。寝ていたら雨風が強くなって、雷まで轟渡りました。寒冷前線通過のようでしたが、日本海側では アリスの名曲ではありませんが冬の稲妻 はよくあることのようです。先ごろの車検でショックアブソーバーを交換し、スタビライザーのブシュも替えてありましたので、強風にもかかわらず揺れは少なく安眠することが出来ました。
 動画はこちらからご覧ください→ なまはげ太鼓  なまはげ下山と周回
 まだ暗いうちに起き出して、大潟の道の駅に隣接するコンビニで新聞を購入したあと大館を目指します。能代を経由して道の駅二ツ井まで来たところで空が明るくなってきたので朝食にします。最近できた道の駅は、だんだんトイレが立派になっています。洗面所でも冬季はお湯が出る所も多くなりました。秋田の道の駅は夜間に積雪するところが多く、まだ除雪車両が走り回っているので、邪魔にならないようなところに止めます。
 大館では市中心部の通りを歩行者天国にして土日の二日間あめっこ市が開かれます。この区間はなぜか路面に雪が沢山残っています。
 開会時刻の少し前に下見で歩き回っていると、献血車と看板を持った人がいて呼び込みをしていました。以前に職場に献血車が来ていたころには年に二回ほど協力していたのですが、最近はイベント会場や大規模小売店舗で見かけた時しか機会がありません。また、上限年齢が気になるところですが、看板を持ったお兄さんに聞いたところ、無条件が65歳までで、65〜70未満では過去5年以内に実績のある人が出来るということでした。まだ開会まで少しあるのと、あまり混んでいるようでも無いので協力をしてゆくことにします。 高校生のころから始めて、当時は手書きの献血手帳で、輸血を受ける人は献血手帳を持っている人に頼んで、手帳から「供給記録」を差し引いて受ける制度でした。今はカードになっていてケイタイしなくてもオンラインで調べて発行してくれます。通算では45回目のようでした。車の周りには途中で段々入りきらないくらい人が集まって来てくれました。
 大館と言えば秋田犬です。なかなか本物(生体)に近づくことはめったにないので、近づくと大きいです。同じ日本犬の柴犬とは体重では数倍あるのではないでしょうか。あちこちでおとなしく写真サービスをしていました。
 排水桝のフタ(マンホール※は目に留まりませんでしたがハンドホール)のデザインにもワンコが描かれていました。でも。下の写真、ブルドッグに見えませんか? ソースのパッケージのような・・・。垂れ耳なのがまず違うような。

注※ 桝の大きさで人が入れる大きさ(概ねΦ500が限界?)のものがマンホール(人孔)で、それ以下の点検口はハンドホール)
 無料でナントカ飴を配るサービスが始まりましたので並びました。棒の先にからめた柔らかい飴を、手で棒を持たずに、口をあ〜んと開けてパクッと受取りいただきます。棒はすぐに回収されます。テレビの取材もきていたようですが、飴の由緒は聞き漏らしてしまいました。
 たくさん出店が並んでいますが、飴の中では子供用の人気各種キャラクターに仕上げたものが売れています。二つ買って二人に食べさせてみたところ、着色は飴自体の色ではなく、表面に塗ってあるもののようでした。どらえもんは舐めると舌が青くなって、中から透明などらえもんの形をした飴が出てきました。
 汁物も各種ありますが大抵高額(数百円以上)な中で、一杯百円の山の芋汁が人気です。テントの奥では若手スタッフがせっせと芋をすりおろしています。ゴボウやネギも盛って大なべの汁をかけて出来上がります。量は少なめですが安くておいしくて満足です。
 
 本日のお風呂をいただきに、鹿角市大湯にやってきました。新しい道の駅に寄ります。雪が消えると遊歩道などもあってゆったりした配置で良さそうですが、冬は雪深い所のようで長く張り出した庇が十分に効果を発揮しています。
 道の駅は一般に、災害発生時などの対応拠点として活用する…などと某組織の案に盛り込まれたりしていますが、普段から車があふれていて狭かったり、周辺に遊休地が全くなかったり、その場所自体が被災しそうな(津波・水害・崩落等)所も結構あります。
 こちらの道の駅は周囲に流用出来そうな土地が十分あるようなので、例えば警察・消防・自衛隊等の車両が多数集結しても捌けるのではないでしょうか。 道の駅にも用途別のランク付けをして、災害時対応型の指定などがあっても良いのではないかと考えます。
 道の駅のすぐ近くに湯都里(ゆとり)という外来入浴が出来る施設があります。HPによりますと、鹿角市大湯温泉保養センター・老人福祉センター・地域包括支援センターといろんな名前が付いていて、トレーニングスペースやラウンジ、個室休憩室などを備えています。つまり市が運営しているということのようです。多くあるパターンでは市で抱えきれなくなって民間委託するという流れが多いようですが、こちらは民間のホテルが母体で2017年にリニューアルし、現在は社会福祉法人が運営しているようです。
 
 入浴料金は一般400円で65歳以上は230円です。券売機がありますが、身分証などのチェックは無いようでした。この地域の入浴料は300〜600円位のようです。
 洞窟風呂もある浴室内の写真等は撮れませんが、誰もいなかったので脱衣室だけ失礼しました。ベビーサークルなどもあって充実しています。他にも勉強などに無料で使えるコーナーやトレーニングマシンを使っている方もいました。外は雪が強く降っていますが、館内は静かで温かくて快適です。利用する者にとってはとても良いのですが、もし経費の多くを税金で賄っているとしたら申し訳ないような気もします。 一つだけ注意点ですが、シャンプーや石鹸類は備えていないので、持ち込むか少量の物を購入する必要があります。ウチでは車内に常備しているので、それを持参しました。 それにしても天然温泉に入るとゆったりした気持ちになります。
 
 大湯から発荷峠を越えて十和田湖畔の休屋を目指します。発荷峠は紅葉の季節には観光客はほとんど立ち寄って展望を楽しむところですが、冬季は雪に埋もれて展望台も閉鎖されているようです。24時間利用可能なトイレは曲がりくねった坂を下りきった和井内にあるようです。
 厳冬期の一か月間にわたって毎日「十和田湖冬物語」が行われています。電飾の他生演奏や映像上映や花火や滑り台なども毎晩です。お客さんも、この寒い夜に関わらずたくさん集まってきています。
 そして食べ物屋さんも充実していて、これでもかとおいしそうな、あたたかいものを中心に売られています。巨大なかまくらの中の通路を奥に入って行くとBARもあったりします。
 夕食は済ませてしまっていたのですが、おいしそうなニオイに釣られてホルモン煮込みをいただきました。写真だと少なめに見えますが、二人でつついても十分な量で、味も濃くは無いものの味わいがあって、これで500円なので良心的な価格設定だと思いました。食べる場所は無料休憩所(囲ったテント)に大勢入れて、テーブルや椅子があるところでいただけます。
 そして、私の最大の関心事はBV206です。車内で食事中に走って行くのが窓から見えたのでびっくりしていましたが、この会場の片隅に止まっていて中が見えるようになっているではありませんか。
 実車走行動画がこちらにあります が、究極の走破性を備えたスウェーデン製の車両です。「BV206」でYoutubeを検索するともっとたくさん出てきます。
 
 以前からこの車両には興味があり、乗ってみたいと思っていましたが、こちらでは十和田湖展望台までの観光用に一般客が乗れるようです。案内看板を見るとツアー時刻は午前10時から2時間おきで16時まで行われていて、しかもツアー料金はたったの2000円です!
 ですが・・・今日のツアーは終わってしまっていました。 16時前にはこちらに着いたのですが、今回会場の下見は行わないで、夕食をいただいたり休憩していました。現物を見られただけでも嬉しいのですが、冬季の旅行で翌日には別のスポットを回る予定なので、残念ながら乗る機会を逃してしまったようです。
 翌朝は湖畔の道路を子ノ口まで進んで、奥入瀬渓流沿いの国道を東へ、焼山まで行ってみます。湖面は広く暗い雲・雪で水の色も寒々としています。八甲田山の映画にも冬の十和田湖が出てきますが、徒歩(スキー)で弘前からぐるっと十和田湖を回るなど、楽ちんに慣れた私たちには想像ができません。
 子ノ口には十和田湖から流れ出る奥入瀬渓流の流出ゲートがあります。昼夜で流量調整が行われていて、冬季は不明ですが、夏季の雨量が少ない期間には夜間は流出を制限していると聞いています。日中だけ「奥入瀬渓流」には水が流れるわけです。
 ゲートの近くの平水面に白鳥が何羽か休んでいました。
 奥入瀬渓流は冬に通るのは初めてです。氷瀑が何か所か鑑賞できます。雪深い所の朝なので、除雪車両(グレーダーとロータリーのセット)が往復で走って、路面を整備してくれています。
 十和田湖冬物語のメインアクセスは青森側で、八戸駅を起点としたバスなどもあるようですが、今回私たちは秋田側からのアプローチで、この後も秋田側でのポイントを巡りますので、焼山の旅館が何件かある所でUターンして、奥入瀬渓流館の広場で朝食にします。
 右写真の木造の建物がトイレ棟です。ここへ来るまでの間では、湖畔の休屋の駐車場近くのトイレは夜間はドアが開かないようです。子ノ口は24時間使えそうです。そしてこちらも大丈夫そうです。新しそうで設備も立派です。ひとつだけ。床の仕上げがモルタルを塗っただけなので味気ない気もします。水掃除のしやすさ、汚れ対策、スリップ防止など、不具合が起こらないことを願っています。
 再び同じ経路を休屋まで戻ってきました。まだ9時前です。すると雪上車ツアーの開始時刻までもうすぐです。予約などはしていないのですが、もしかすると乗れるかもしれません! おそるおそる看板にあったケイタイ(社用)番号に電話してみました。すると今のところ満員だが、直前までにキャンセルが出るかもしれないので、また10時5分前に電話してみてください…とのことです。 10分前に再度電話してみると乗車可能とのことで、喜んで出発地のアドベンチャーホテルに向かいました。このホテルがベースになっていて、冬物語の会場にはPRのために車両を置いているだけのようです。
 BV206の現車を間近で見ただけでも感激ですが、乗車が可能ということで、他のお客さんと一緒に喜んで乗り込みます。十和田湖展望台(リンク先地形図は推定箇所)まで行くのですが、途中まで公道をはしりますので、このbv206にはナンバーが付いています。
 この車両はクローラー(キャタピラー)駆動のシャーシが2連になっていて、前後の相乗効果で可能になる驚異的な走破性はYoutube上でも見ることが出来ます。エンジンは前側車両にあって、後ろ側の駆動は油圧で行っているようで、連結部に油圧ホースが見えます。
 エンジンは2700ccのディーゼルターボということで、私のキャンカーより少し小さいです。メカに対してやや非力な気もしますが、これは重量を抑えて浮上走行を確保し、スウェーデン北部の湿地帯も踏破できるようにという設計のようです。因みに類似車両が消防庁の所管で愛知の岡崎にあるようですが、そちらは水深制限があります。
 後部車両に乗り込みますが内部には通信装置などあります。窓はあまり大きくないので景色を楽しみながらとはいきません。担当の方の説明で、暖房が後部の分は故障しているので、途中で別の雪上車に乗り換えます とのことです。また別の特殊車両に乗れるので喜んで乗り込みます。
 乗り換えたこちらの雪上車は国産の大原鉄工所製で、秋田のにかほ市にある白瀬記念館に展示してある、南極探検に使用したものと同系統のかんじです。こちらはナンバーが付いていないので、冬季閉鎖の旧道ゲートから奥だけ乗車します。こちらは窓が広く周囲を観察できますが、気温差で結露が多く頻繁に拭き取る必要があります。

  BV206・雪上車・展望ツアーの動画はこちらからご覧ください。
 展望台へは旧国道から新雪をかき分けて10分ほど歩きます。切り立った断崖・雪庇の上から湖面(中湖)を望み、上昇気流を確かめたり、猛禽らしい飛翔を確認したり、通常ではガイド無しでは安全には来られない経験が出来ます。
 次の目的地は道の駅たかのすで行われている もちっこ市 です。ルート的には前日経由地に戻ることになりますが、十和田湖の発荷峠から鷹巣へ抜ける最短ルートは小坂町を経由する樹海ラインです。何度か通ったことはあるのですが、発荷峠から七滝の道の駅のあたりまでの約20kmには集落はありません。雪深いこの時期にはここは通行止めになるものと思っていました。ですが激しく雪が降って積雪は増えつつあるものの、通行止めの掲示は有りません。
 私はわんこと同じで雪が積もると喜んで走り回るほうなので、ダメなら戻る覚悟で進んでみます。対向車も来たので(区間を通して2台)進んで行きますが、雪用ワイパーではないのでたまに止まって付着した雪を払います。そのうちミニパトが前を走っているのに追い着きましたが、車間距離を十分にとって付いてゆきます。そのうち停止しました。見ると対向車とこちら側の車が衝突して人が何人か立っています。事故処理に駆け付けたのでした。 このような区間も走ることがあるので、キャンカーでも4WDが安心です。後部は真っ白で、バックカメラは周りのフードでとりあえず用をなしています。
 もちっこ市の会場は以前と同じですが、駐車場の一部に新しい建物ができて、テントの位置が少し移動していました。いくつか買い物をしましたが、出店の会計もスマホのキャッシュレス決済でバーコードを読む時代になっていました。
 森吉山の阿仁スキー場が今回ツアーの最終ポイントです。到着は夕刻ですが、18時出発の 夜の樹氷鑑賞会(ピステンツアー?) に参加しますので、受付や食事を済ませておきます。まわりでスキーにやって来ていた車はほとんど帰ってしまい、辺りが暗くなったころに出発します。
 使う車両は、ドイツ製圧雪車の後部にキャビンを取り付けたもので、スキー場のゲレンデを直登してゆきます。傾斜の急な部分を登る時には下向きの席は滑り降りそうになります。
 樹氷ができるこの時期には天候が荒れることが多く、この日も遠望は出来ませんでしたが、通常は見ることのできない夜の雪原に立つ樹氷の周りでしばらく遊びます。冬山ウェアを着てきたので踏み跡の無い所もぐるぐる歩き回ります。ザックにビバーク用のツェルトも持ってきましたが、もちろん使うことのない安心装備です。万一置き去りにされても一晩生き残れそうです。
 動画はこちらからご覧ください
 翌朝は秋田内陸鉄道沿いに田沢湖に向かいます。この沿線には難読地名がいくつかあって右の駅名板は ナニクボ ではなく イズクボ と読むようです。でもユニークなのは オカシナイ と読む 笑内 ではないでしょうか。
 やはり厳冬期のイベントで、曜日指定ではなく日付指定で行われる紙風船上げも見ようかと思いましたが、夜まで時間があまり過ぎるので今年は割愛して田沢湖の畔を通って帰ることにします。
 早朝の湖畔でなければ見られない(多分)、湖畔から立ち上る霧が見事です。白鳥も休んでいてのどかな、めずらしい光景を見ることが出来ました。